青い羽みつけた!

「青い羽みつけた!」スタッフインタビュー
special

アニメ制作スタッフである、監督/プロデューサー宇田 英男さん、チーフディレクター川越 崇弘さん、アニメーションディレクター川井江里夏さん、陳希さん、UE4アーティスト千野 勝平さん、コンポジット/編集 清水 理央さん、鳥 ディレクション 近藤左千子さんにお話を聞きました!



Q:プロジェクトに参加してみての感想や、本作の現場の特徴などがあれば教えてください。



川井さん(アニメーションディレクター)
1人が受け持つ仕事の範囲が広くて大変な仕事でしたが、同時に自分のやりたい事ができたのは嬉しかったです。宇田さんも自由に作ることを尊重してくれていて、色々な意味で特別感のある仕事でした。


千野さん(UE4アーティスト):
本読みの段階から参加させてもらっているのですが、自分のセクションではこういった機会を得られることって非常に珍しいことなんです。特別感と言いますか、結果的にすごく思い入れのあるプロジェクトになりました。


川越さん:
今回の企画では、主要なメンバー全員が揃った状態で脚本と設定の意見出しをやっていたんです。僕や箕崎(脚本)を中心とした、各セクションのみんなもしっかり意見を出してくれていましたよ。


Q:演出面でのこだわりや、制作にあたって特に意識した点などがあれば教えてください。



宇田さん:
原作は図鑑絵本なので、アニメのために作った作品じゃないんですね。その中で“身近な鳥を楽しく見れる”というコンセプトを、いかにアニメという形に落とし込むかは、全体を通してこだわった部分です。


川井さん:
「絵本をそのまま動かしたようなアニメを作る」というコンセプトは、上手く設計できたんじゃないかと思います。それをUnreal Engineで再現してもらったのですが、最終的には想定以上に馴染んだ絵が出来上がってきて驚きました。


陳希さん(アニメーションディレクター):
鳥の動作の調査や再現はかなり大変でした。話す時はクチバシの開け方は小さく素早くとか、コゲラが木をつつく仕草も早すぎないようにとか。……そういった部分は、特にしっかりと話し合いながら作りました。


千野さん:
本編では3話と4話の背景を担当したのですが、薄暗い森を描く3話と、日差しが綺麗な湖のある公園が舞台の4話では、けっこう雰囲気が違いますよね。それを違和感なく表現する方法を考えるのは、とても楽しかったです。


清水さん(コンポジット/編集):
アニメ的なパッキリした色分けをせず、それこそ絵本がそのまま動いているような映像を作れるように。同時に手描き風の線や、キャラクターに乗せた薄いテクスチャが主張しすぎず、違和感なく効果を発揮できるバランスになるよう、全編通してこだわっています。


近藤さん(鳥ディレクション):
作り始める前にスタッフの皆さんを掛川花鳥園に連れて行ったことです。鳥ってそのへんにいる生き物なのに、1羽の生物としてしっかりと見る機会ってないじゃないですか。だから、近くで見ることで改めて分かる事があると思ったんです。
首を傾げて餌との距離を測る仕草とか、横に閉じる“瞬膜”という特殊なまぶたの動きとか……。そういった挙動は、実際に見ないと実感するのが難しいんですが、いわゆる“鳥っぽさ”に繋がるのってそういうリアルさだと思うので。そこに、小さな違和感を覚えてくれたら成功かなと。


川越さん:
原作は図鑑絵本という体裁でしたから、よりアニメっぽい雰囲気を前面に出しています。その辺りは、脚本の箕崎と相談しつつ調整した部分ですね。
あと、各話のエンディングは“声”の図鑑として作っている側面があるので、その点にも注目してみてください。慣れてくると声を聴き分けられるようになるので、リアルで鳥を探す際の助けにもなってくれると思います。

Q:ご自身が担当された要素の中で「このカット、このシーンはぜひ見てほしい!」と主張したい場面はありますか?



宇田さん:
6話は集大成的なものとして、とても印象に残っています。色々とやってきた最後の1本でしたし、絵も声もシナリオも良かったので、個人的な「ついに終わったんだ」という感慨深さも含めて、とても気に入っています。ぜひ、1話から通して見て、この感覚を楽しんでみてください。


川井さん:
ちょっと1つに絞るのが難しいんですが……。鳥を作画しているカットの中でも、特に見ごたえがあるのは4話の白鳥のシーンです。長尺のカットで、ずっと絵を見ていられるクオリティを出すのが本当に難くて、あれだけに1ヶ月くらいかけて描いたのを覚えています。



陳希さん:
5話のスズメの砂浴びです。今回の仕事で、砂浴びという習性を初めて知ったんですが……。体全体をバサバサッと動かす可愛さはもちろん、登場するスズメそれぞれにも個性があって、何より楽しそうなのがいいですね。一番好きなシーンです。



千野さん:
パッと思いついたのは、4話の季節が切り替わるシーンですね。魔法的な力で夏から冬に景色が変わる場面なのですが、そういった演出は豪華にすると“CGくさい”感じが出ちゃうんです。上手に絵本的な世界観とマッチするように調整できたので、自分でもよく出来たかなと思っています。



清水さん:
背景のビジュアルを作るにあたって、元になったアートボードがあるんですが。3話にも4話にも、その全体像がバッチリ使われているシーンがあるんです。そこは最初に作ったシーンで、そこから世界を広げていった部分もあり、背景としてのクオリティも高いので、注目してほしい部分ではあります。



川越さん:
強いて言うなら、オオルリが肩に止まるカットはクオリティに驚きました。ディティールの精細さも含めて、あのカットのCGは本当によく出来ていました。キャラとのマッチ度合いも含めて、個人的にとても好きなカットです。
キャラクター面で言うなら、1話のヒナがぷくーっと怒るカットと、「イェイ!」のカットですね。ハヤトの方はシェアしたイメージ通りに作られていたんですが、ヒナは作っていく中で大きく広がったキャラクターだと思います。演技を初めて聞いた時は「ここまで行くのか!」と驚きました。あそこでキャラクターの方向性が決まったんじゃないかな。



近藤さん:
カラスに関しては、かなり力を入れました。身近で見慣れている上に、ちょっとイヤな目で見ることが多い鳥なので、アニメを通してカラスを好きになってもらえたらと思ってディレクションを行いました。……まさか、あんなに声がイケメンになるとは思いませんでしたけど(笑)

Q:最後に、視聴者の皆さんへのメッセージをひと言ずついただければと思います。



宇田さん:
絵作りやテクノロジー面でのこだわりは色々とありますが、何よりも「身近にいる鳥を観察したい」と思える作品になるように頑張ってきました。最近はちょっと外出が難しい時期ではありますが、落ち着いた頃に空を見上げて、鳥の姿や仕草を楽しんでみてください。作品に登場している鳥はすべて身近な場所で見ることができますので、探してみるのも良いかもしれません。


川井さん:
東京の都心の方にオフィスがあるんですが、2~3分歩けば川があって、そこに作中で登場した鳥たちがみんな集まってるんです。この作品のおかげで、カワセミの声で「あ、いるな」と思えるようになりました。そんな風に、自然を日常の中から感じられるようになれば嬉しいです。


陳希さん:
知ることで印象が変わることって、ありますよね。例えば、カラスってゴミ置き場を荒らす悪者のように見られていますが、生態を知れば単に嫌うだけじゃなくなる。この作品が、生き物の色々な面を知る手助けになればいいなと思っています。


千野さん:
散歩に行くと鳥を見ちゃうんですよね。実際、気にしてみると意外なくらいいるんです。こんなに派手な鳥や、でかい鳥が、徒歩数分の場所にいるんだなって驚きがありました。この作品が、そういった新しい発見や歓びに繋がればいいなと。


清水さん:
僕もこの作品を作ってから、鳥に注目する機会が増えました。作品の中で見た鳥の仕草や、エンディングで聞いた声を思い出して、それを探してみてほしいです。


近藤さん:
野鳥って一番身近な場所で見られる動物なんですが、逆に身近すぎて意識されることが少ない動物でもあります。ちょっとだけ知識があれば、鳴き声がたまに聞こえてくるだけの鳥たちからも、そのふるまいから色々なことが見えるようになって、日々がとても楽しくなると思います。今回の作品が知識の入り口になればいいな、と思っています。


川越さん:
子供が楽しめるのはもちろん、自分としては大人が楽しめるアニメとしても作ったつもりです。個人的にはベタな子供向け作品にはしたくなかったので、大人でも退屈せず最後まで楽しく見られる作品を目指しました。完走できない人はいない、くらいの自信を持っています。メインターゲットの趣向はしっかり汲みつつ、大人が見ても“子供だまし”だとは感じさせません。ぜひ、お子さんと一緒にご覧になってください。


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